税の歴史編③~遊興飲食税
先週の大寒の日は暦通りの極寒となり、冬本番の寒さが訪れていますね。
1月も下旬、お正月気分もようやく抜けてきた頃ではないでしょうか。
年末年始は、忘年会、クリスマス、お正月に新年会と楽しく集まり、飲食の機会も多かった
ことと思います。
今回は、そんな場面において昔、課せられていた「遊興飲食税」について取り上げました。
対して課税されたもので、大正8年(1919年)5月に石川県金沢市が初めて市税として
創設しました。
その条例では、金沢市内の料理店、貸席、貸座敷にて芸娼妓(ゲイショウギ)を招聘
(ショウヘイ)して飲食又は遊興をなした場合とされており、芸妓の招聘を伴うことが
条件だったようです。
この遊興への課税について当時の大蔵省(現在の財務省)主税局国税課長 勝正憲は、
贅沢者流(ゼイタクシャリュウ)などの濫費(ランピ)の一部を徴する金沢市の企てのことは
よい事だ、と金沢市を支持したとされています(大正8年4月17日付「東京朝日新聞」)。
金沢市の遊興税導入は他の市へと波及していき、1年後には5県38市まで広がりました。
遊興税は、昭和14年(1939年)に遊興飲食税として国税へ移りました。遊興飲食税(国税)
では、芸妓の招聘を伴わない料理店等での飲食代や旅館の宿泊料なども課税対象に
されました。
遊興飲食税(国税)の税率は、遊興飲食の内容や税法改正により変わり、芸妓への支払
代金(花代)で見ると、導入当初は20%だったものが昭和19年(1944年)には300%に
まで跳ね上がりました。この異常な増税の背景には戦争による消費の抑圧があったようです。
遊興飲食税(国税)は昭和22年(1947年)4月から再び地方税としての遊興税となり、
その後、遊興飲食税、料理飲食等消費税、特別地方消費税と名称を変えて存続しましたが、
地方消費税の創設等の理由により平成12年(2000年)3月に廃止となりました。
温泉旅館等に宿泊の際に課せられていた特別地方消費税は記憶に新しい方もいらっしゃ
るかもしれませんね。
消費税導入後もしばらく存続したこの税は、二重課税との指摘もあり、時代の流れととも
に廃止の動きとなったようです。
(出典:国税庁 租税資料)