2018年~配偶者控除の改正
今月21日、東京千代田区の靖国神社にあるソメイヨシノの標本木が開花したことを気象庁が発表し、沖縄を除く全国で最も早い桜の開花宣言となりました。暖かい日も増え、いよいよ本格的な春の到来を感じますね。
さて、同じく今月の27日、参院本会議では税制改正関連法が賛成多数で可決、成立しました。新制度は2018年1月から適用されます。
税制改正大綱公表の際にも触れましたが、今回は税制改正関連法の柱となる配偶者控除の見直しについて取り上げました。
新制度では配偶者控除満額(38万円)の控除が受けられる配偶者の給与収入金額の上限が、現行の103万円から150万円に引き上げられます。
これは控除を受けるためにパートで働く主婦の就労時間を抑制するいわゆる「103万円の壁」を解消するための見直しとされています。
この改正により控除の対象となる人が増え、これまで配偶者のパート収入が103万円を超えていた人にとっては減税となります。
一方、納税者本人には所得制限が導入されます。給与収入金額1,120万円超で控除額が逓減を開始し1,220万円超で消失、つまり配偶者控除の適用対象外となります。
例えば、納税者本人の給与収入金額が1,220万円超となる場合、現行は配偶者が働いていなければ納税者本人の収入にかかわらず配偶者控除の満額38万円が受けられていた世帯が、これを受けられなくなります。
高所得者は税率も高いため、配偶者控除の減少による増税は大きくなるでしょう。
高所得者にとって新制度の所得制限は実質的な増税となります。
今回の改正では、当初は配偶者控除を廃止し、年収を問わずに対象とする夫婦控除の新設が検討されましたが、専業主婦世帯の反発や大幅な税収減が懸念され、配偶者の年収制限の引き上げにとどまったようです。
なお、かねてより廃止が囁かれている配偶者特別控除も残り、併せて見直しが行われました。従来どおり納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できないものとなっています。