税の歴史編⑤~下宿とアパートの税

4月を迎え、新生活をスタートされた方も多いのではないでしょうか。
 
進学、就職等で親元を離れ、アパートでの一人暮らしが始まった方、下宿先を決めた方もいるかと思います。
今回はそんな下宿とアパートにまつわる税について取り上げました。
 
 
下宿は昔から日本にある施設で、旅行業法の営業形態のひとつです。
その昔、下宿は個人が営業(収益)税を課される業種のひとつである「旅人宿業」に該当するものとして課税されていました。
その一方で、アパート業はどの指定業種にも該当せず、営業(収益)税の課税対象外でした。
 
昭和のはじめ、下宿に代わってアパートが流行するようになった時代、下宿屋側からはアパートに営業収益税が課税されないのは不公平であるとの不満が多くあがったようです。
 
また、当初の営業税は、法人も個人も業種を指定して外形に課税する方式でした。
具体的には、旅人宿は、建物賃貸価格に定率をかけたものに、従業者数1人当たりに定額をかけたものを加える形で課税されており、利益の多少にかかわらずに課税されることに批判がありました。
そこで、大正15年から営業収益税として、法人は業種を問わず、個人は業種を指定し、純益を基準に税額を計算することになったそうです。
 
現在の事業税も、法人は業種を問わず、個人には業種を指定して課税しています。
下宿は営業(収益)税から引き続いて旅館業として指定業種となっており、アパートなどの不動産貸付業が事業税の課税対象になったのは、昭和56年(1981)の改正からでした。
 
 
因みに最近では、プライバシーの問題やシェアハウス等の普及もあり「下宿」は縮小傾向にありますが、圧倒的な家賃の安さや栄養バランスの整った食事が提供されるところも多くあることから、学生から社会人になってもそのまま住み続けるという人もいるようです。
 
(参照:国税庁ホームページ)