税の歴史編②~菓子税
暑い日が続いておりますが、朝夕の涼しさに秋の訪れを感じる日も増えてきました。
「食欲の秋」を迎えた方もいらっしゃることと思います。
今回は仕事中にもついつい口にしてしまうお菓子に関する税について取り上げて
みました。
かつて、日本にはお菓子を課税対象とした菓子税(国税)がありました。
これは、明治18年に公布された「菓子税則」という法律で定められており、菓子業者は、
免許鑑札料、営業税及び製造税を納付することとされていました。
菓子税が導入された背景には、前年に起きた甲申事変により陸海軍の拡張が急務と
なり、それを賄う新税創設が必要になったことがあります。
菓子を一種の「奢侈品(ぜいたく品)」と位置付け、課税の根拠の一つとしたようです。
このように導入された菓子税ですが、すぐに廃止もしくは改正を求める運動が全国で
起こり始めます。
租税とは国民の所得額の多寡に応じて賦課するべきであり、多額の所得がある諸商業
には課税せずに菓子業に課税するのは不当であること、菓子商は経営規模が小さい
業者が多く高利を得られる業態でもないため、国税を負担させるべきではないこと、
そもそも菓子の定義があいまいであること、などが廃止を求める内容でした。
また、菓子税則は解釈が困難で、徴収する側にとっても徴収される側にとってもかなりの
混乱があったとの記録もあります。
このようにして菓子税は、日清戦争後に増大した財政支出を補うため、明治29年に
国税として営業税(現在の事業税(地方税)の前身)が創設された際に、重複を避ける
ため廃止されるに至りました。
菓子税といえば、最近ではハンガリーの「ポテトチップス税」が話題となりました。
こちらは肥満予防の目的もあるようですが、理由はどうあれ、お菓子好きには
ちょっと悲しい課税ですね。
(出典:国税庁 租税資料)